AIエンジニア

AIエンジニアとは

AIエンジニアとは、人工知能(AI)を用いたシステム開発やデータ解析を行う専門家です。AI技術の急速な進化に伴い、彼らは機械学習やディープラーニングなどの技術を活用して、さまざまな業務やサービスにAIを導入したり、新たなソリューションを生み出したり、既存システムを改善します。

AIエンジニアには、プログラミングスキルだけでなく、数学や統計学、データベース運用、データ分析などの幅広いスキルが求められます。急速に進化する技術環境の中で、彼らは常に新しい知識を習得し、AI技術の最前線で活躍しています。AIエンジニアの重要性はますます高まり、様々な産業領域で不可欠な存在となっているのです。

AIエンジニアの仕事内容

AIエンジニアの仕事内容は大きく以下の3つに分類されます。

AI開発

AIエンジニアは、AIシステムの開発において重要な役割を担います。具体的には、ユーザーが解決したい課題やニーズを分析し、その要件を基にAIシステムの設計・開発などです。
システムの実装やテストを通じて、正確性やパフォーマンスを確認し、必要に応じて改善を行います。特定の機能を備えたAIシステムを開発する際には、ユーザーとの使いやすさやデバイスとの親和性を考慮しながら設計。AI開発にはPythonが広く使われており、Keras、TensorFlow、PyTorchなどの機械学習ライブラリが頻繁に活用されます。

学習

AIの学習は、開発後も継続的に行われます。AIエンジニアは学習用のデータを収集・整理し、AIモデルに適切な形で提供。収集したデータをクレンジングして、不要なデータを除去・または修正し、AIモデルが適切に学習するための準備をします。その後、機械学習やディープラーニングによってAIに大量のデータを処理させ、パターンや関係性を学習させます。これによってAIシステムの精度や機能が向上します。

分析

AIエンジニアは、AIが学習したデータを分析し、意味のある情報を抽出します。AIが抽出したパターンやルールを活用して、与えられたデータを分類や予測する作業を行います。さまざまなデータ形式を扱い、音声や画像、文章、ビジネスデータなどに基づいてAIによる自動化や意思決定のサポートを実現。

AIエンジニアは、数学や統計学、プログラミングスキルに加えて、問題解決能力やコミュニケーション能力も求められます。チームで協力してプロジェクトを推進し、AI技術をビジネス価値に結びつけることが重要です。

AIエンジニアの年収

AIエンジニアの年収は、日本国内では平均的に高い水準に位置しています。

各媒体の調査による平均年収

複数の媒体によると、2023年12月時点でのAIエンジニアの平均年収は約566.3万円です。求人ボックスの調査では598万円という報告もあります。一方、厚生労働省の調査によると534.6万円となっています。
平均値をとると、約566万円という数字で一般的な職種より高年収であることがわかります。

年収の範囲

求人ボックスのデータによれば、AIエンジニアの年収の幅は広く、554万円から646万円の間に収まることが多いです。全体の給与幅としては372万円から1,102万円という広範囲に及びます。
勤務先や経験・スキルによって大きな差があるため、具体的な年収は個々の状況によって異なります。

高年収の例

過去には特定の企業でAIエンジニア向けの最高年収が1億円という報酬が提示されたこともあります。ただし、これは高学歴や特定のスキルを持つ人材に対する例外的な報酬です。

海外との比較

海外のAIエンジニアの平均年収は、日本国内よりも高い傾向にあります。アメリカでは1,000万円から1,500万円と報告されており、日本と比較すると格段に高い給与水準です。
アメリカではAI技術への需要が高く、プログラマやエンジニアに対する報酬や評価が高いことが背景にあります。
総じて言えることは、AIエンジニアの年収は日本国内でも高水準であり、経験やスキルの獲得によって年収を上げることが可能ということ。また、国際的な視点から見ると、海外ではさらに高い年収が報告されています。今後もAI技術の普及と需要の拡大に伴い、AIエンジニアの市場価値はさらに高まる可能性があるでしょう。

AIエンジニアに似ている職種と違い

AIエンジニアと類似した職種には機械学習エンジニアやデータサイエンティストがありますが、それぞれには特徴や業務内容に違いがあります。

機械学習エンジニアとの違い

AIエンジニアと機械学習エンジニアは、どちらもAI技術に携わりますが、それぞれの役割や焦点が異なります。
AIエンジニアは、AI全般に関わり、AIの開発や活用に焦点を当てたり、AIの開発だけでなく、AIの学習やデータ分析も担当したりします。一方、機械学習エンジニアは機械学習に特化しており、機械学習モデルの開発や実装、運用・保守を主な業務とします。
将来志向に重点を置く傾向があるAIエンジニアと比較して、機械学習エンジニアは主に機械学習に特化した開発やプログラミングを行います。

ITエンジニアとの違い

AIエンジニアとITエンジニアは、それぞれ異なる技術領域に特化しています。
AIエンジニアは主にAI技術の開発やデータ解析に焦点を当てます。一方、ITエンジニアは広範な情報技術全体に携わり、システムの設計・構築やインフラの維持・管理などの業務に従事。
また、使用するプログラミング言語も異なります。ITエンジニアは主にJavaやC#を使用しますが、AIエンジニアはPythonやR言語、C++を使用することが一般的です。

データサイエンティストとの違い

データサイエンティストとAIエンジニアは、関連性がありながらも業務内容や目的が異なります。
データサイエンティストはデータ解析を通じて有益な知見を提供し、統計モデルの作成や機械学習アルゴリズムの調整などを行います。一方、AIエンジニアはAIの開発やデータ学習に焦点を当て、AI技術全般に関わります。
AIエンジニアは、AI技術の開発や活用に特化した職種であり、将来志向や最新のAI技術に注力することが必要です。他のエンジニア職種と比較して、AIの分野に特化したスキルや知識が求められる点が大きな違いと言えるでしょう。

AIエンジニアに必要なスキル

AIエンジニアになるためには幅広いスキルが必要です。

技術スキル

AIエンジニアは、AI技術の開発やデータ解析に焦点を当てた専門職です。彼らはAIシステムの設計・開発を行い、学習用のデータを収集・整理してAIモデルに提供します。
また、AIが学習したデータを分析し意味のある情報を抽出し、そのパターンやルールを活用してデータを分類や予測します。AIエンジニアは常に新しい技術に触れながら成長し、数学やプログラミングスキルに加えて、問題解決能力やコミュニケーション能力も必要です。

軟技能(ソフトスキル)

AIエンジニアとしてのキャリアを築くためには、技術的な専門知識だけでなく、コミュニケーション能力、問題解決力、プロジェクト管理能力、そして知的好奇心も重要です。プロジェクトでは他のチームメンバーやクライアントとの円滑なコミュニケーションが欠かせません。自分のアイディアや成果をわかりやすく伝えるスキルを磨きましょう。
また、複雑な課題に対する解決力や柔軟な発想が求められます。プロジェクト全体を俯瞰し、計画的に進行させる能力も重要です。
さらに、急速に進化する技術環境においては、新しいアルゴリズムやツールに対する知的好奇心が求められます。常に最新のトレンドを把握し、自身のスキルを向上させる努力を怠らないことが大切。新しい技術に対応できる柔軟性を持つことが成功のカギとなります。

AIエンジニアに使える資格

AIエンジニアに役立つ資格としては、以下のようなものがあります。

G検定

AIジェネラリストとしての基礎的な知識とスキルが求められます。具体的には、AIの基本的な概念や用語、機械学習やディープラーニングの基礎、データ解析やAIのビジネス活用に関する知識が必要です。また、AIの法律や倫理について理解していることも重要です。
G検定は、AIに関する幅広い知識を持つことを証明する資格であり、AIエンジニアやデータサイエンティストとして活躍するための基礎スキルを身につけたい人に向けた資格です。

E資格

ディープラーニングの基礎知識や実装力を証明する重要な資格です。E資格では、ディープラーニングの理論や概念、ニューラルネットワークの基礎、画像認識や自然言語処理の基本的な技術を習得している必要があります。
また、実際にディープラーニングモデルを構築し、問題解決や実践的なプロジェクトに取り組む能力も持っています。E資格を取得することで、ディープラーニングによるAI開発やデータ解析の分野でのスキルを証明することができるでしょう。

AWS Certified Machine Learning – Specialty(MLS-C01)

機械学習の基礎理論やアルゴリズム、モデルのトレーニングや評価方法についての理解が重要です。
また、AWSのクラウドサービスに関する知識も必須。特に、AWSが提供する機械学習関連サービスやデータストレージ、セキュリティ、コンピューティングについての理解が求められます。
実践的な経験も重要で、AWS上で機械学習プロジェクトを設計し、構築、デプロイメントした経験があることが望まれます。他にもデータエンジニアリングやセキュリティに関する知識も必要です。これらのスキルを身につけることで、AWS Certified Machine Learning – Specialty資格を取得し、AWS上での機械学習プロジェクトの設計、構築、管理ができる能力を証明することができます。

Professional Data Engineer

データ処理システムの設計やデータ処理の最適化に深い知識と経験が必要です。大規模なデータセットを扱い、クラウドプラットフォームでのデータエンジニアリングに精通していることが求められます。また、データセキュリティやプライバシー、機械学習モデルの管理など、幅広いスキルが必要です。
Professional Data Engineer資格は、データ処理とエンジニアリングの分野での専門性と能力を証明する資格です。

AI-900: Microsoft Azure AI Fundamentals

Azureを活用した人工知能(AI)ソリューションの基本的な理解とスキルが求められます。この資格では、Azure AIサービスの概要や活用方法、AIモデルの作成と展開、自然言語処理やコンピュータビジョンなどの基本的なAI機能に関する知識が必要です。具体的には、Azure Machine LearningやAzure Cognitive Servicesを使ったAIソリューションの設計と展開が求められます。
AI-900資格は、AzureにおけるAI技術の基礎を理解し、実際のプロジェクトで活用できる能力を証明する資格です。

AI-102: Designing and Implementing a Microsoft Azure AI Solution

Microsoft Azureを使用した包括的な人工知能(AI)ソリューションの設計と実装に関するスキルが求められます。この資格では、Azure AIサービスを活用して実際のビジネス課題を解決するための設計や実装方法について学びます。AIモデルの構築やトレーニング、Azure Cognitive Servicesの適用、Azure Machine Learningの使用、およびAIソリューションの展開と監視に関する知識が必要です。
AI-102は、クラウド環境でのAIプロジェクトにおける設計と実装能力を証明する資格であり、実践的なスキルを向上させます。

データサイエンティスト検定™(DS検定)リテラシーレベル

データサイエンスの基本的なスキルと知識が求められます。この検定では、データの収集から前処理、分析、可視化、そして結果の解釈までのデータサイエンスの基礎的なスキルが問われます。具体的には、データ収集や整理の方法、統計的手法や機械学習アルゴリズムの理解、データの可視化手法などが重要。DS検定は、データに基づいた意思決定や問題解決能力を評価するものであり、データサイエンス領域での基本的なリテラシーを証明します。

統計検定

データ解析や統計学の基本的なスキルを示す重要な検定です。統計検定では、基本的な統計学の理論や手法、データの分析や解釈に関する知識が求められます。
確率論や推測統計、回帰分析や仮説検定などの統計的手法の理解と実践能力が必要です。統計検定を取得することで、データに基づいた意思決定や分析業務に必要なスキルを証明することができます。

AIエンジニアのなり方

AIエンジニアになるためには、いくつかの重要なステップやスキルが必要です。
プログラミング言語(PythonやC++など)の基礎を学び、数学と統計学の基本を理解し、さらに機械学習やディープラーニングの基礎概念を身につけます。

次に、専門知識の習得が求められます。機械学習やディープラーニングのライブラリ(TensorFlowやPyTorch)を使えるようにし、AI開発に必要なツールやフレームワークを習得しましょう。
実践的なプロジェクト経験も必要です。個人プロジェクトやオープンソースプロジェクトに参加し、ポートフォリオを構築します。
また、Kaggleなどのプラットフォームでデータサイエンス競技に参加することで実践的なスキルを身につけられるので活用してください。
学習意欲の維持も大切です。AI技術は常に進化しているため、新しい知識やトレンドについて常に学び続ける姿勢が求められます。

さらに、コミュニケーション能力の向上も必要です。チーム内でのコラボレーションやプロジェクト管理能力を磨り、また、ユーザーや非技術者に対してもAIの概念をわかりやすく伝える能力を養いましょう。
関連する資格取得も役立ちます。例えば、AWS Certified Machine LearningなどのAI関連の認定資格を取得することで、スキルを証明しやすくなります。

AIエンジニアになるためには、学習と実践を継続し、多様な経験を積むことが大切です。常に技術の最新動向に敏感であり、新しい技術やツールに積極的に取り組む姿勢も求められますのでコツコツ積み上げていきましょう。

AIエンジニアに向いている人材の特徴

採用されやすいAIエンジニアは、新しい知識や技術に対する積極的な興味と学び続ける姿勢を持っている人です。
基礎的なスキルを持っていることや、複雑な問題を解決するための論理的思考力、チームでのコミュニケーション能力が重視されます。また、過去の経験や専門性を活かして、AIプロジェクトに付加価値を提供できる人材が求められています。AIエンジニアとしてのキャリアパスは、年齢や経験に応じて異なるアプローチがありますが、常に学び続ける姿勢と技術的なスキルの向上心があれば未経験からでも可能性は低くありません。